Pacemakerの制御に利用できる設定ツール「crm」について紹介します。
Pacemakerとは
Pacemakerは、一連のマシン間で関連する「サービス起動」と「サービス復旧」をコントロールするためのクラスタソフトウェアです。
Pacemakerの概要については、こちらも参照ください。
→クラスタ構成ソフトウェア「Pacemaker」と「Heartbeat」「Corosync」の関係性
crmコマンドとは
概要
crmとはPacemakerのクラスタ設定/管理を行うコマンドツールで、シェル「crmsh(The CRM Shell)」で動作します。
「pcs」の前身
制御コマンドの変遷
Pacemakerでは、もともと「crm」コマンドが使用されていましたが、Pacemaker(Ver1.1)から「pcs」コマンドが採用されました。
「pcs」とは
「pcs(Pacemaker Configuration Tool)」は、Pacemaker/Corosync構成ツールです。
コマンドラインインターフェースによるpacemaker/corosyncの制御や設定が可能で、ユーザーはPacemakerベースのクラスタについて作成/表示/変更などを行えます。
→Pacemaker用GUI(web)ツール「pcs(pcsd)」
「crm」コマンドのメリット
crmは、長い間利用されてきたため、DRBD+Pacemaker+Heartbeatに関する技術資料などにcrmコマンドを用いたノウハウが数多くあります。
以前から利用していたユーザーにとっては、crmのほうが使いやすいと感じるケースが多いようです。
特徴
pcsに対するcrmの特徴として、以下のポイントが挙げられます。
操作モードを把握しやすい
crmコマンドでは「crm」と入力するとコマンド入力モードになり、コマンドプロンプトが「crm(live)#」に変わります。また、「configure」と入力すると設定モードとなり、コマンドプロンプトが「crm(live)configure#」に変わります。
このように、コマンドプロンプト表示で現在の操作モードを容易に確認できるため、コマンド操作ミスを減らせるメリットがあります。
設定ファイルを読み込める
crmコマンドでは、あらかじめ用意しておいた設定項目記述ファイルを読み込ませることでも設定できます。
複数リソースを読み込んでまとめて設定することも可能です。
編集/修正が簡単
設定済項目の修正も比較的簡単に行えます。
「crm configure edit」コマンドで直接編集モードになり、Vi/Vimエディタと同じように編集を行えます。
特に、Pacemakerの設定値を変更する機会が多い構築段階やテスト段階においては、効率的に作業できます。
主な機能
crmコマンドにより、以下の操作を行えます。
ステータス確認
・設定状態表示
・動作状況確認
リソース設定
・リソース設定をファイルから読み込み
・リソース設定を消去
リソース操作
・リソース停止(フェイルオーバー ありorなし)
・リソース復旧
ノード操作
・スタンバイ状態に切り替え
・オンライン状態に切り替え
動作制御
・障害状態クリア
まとめ
設定ツール類を利用することで、Pacemakerでのクラスタ環境に関する管理工数を低減できます。
弊社にご連絡をいただければ、運用担当者の方にとっても管理が行いやすいように、実際の運用面までを考慮したHAクラスタ環境構築についてのご提案も行えます。
まずは、お気軽にお問い合わせください。
参考元サイト